ペテン師の恋
すると、電話越しの聖も元気がない様子だった。






「あれ?美里さん元気ない?」






聖は自分も元気ないくせに、美里を気遣ってくれた。






「聖こそ、元気ないじゃない。どうしたの?」







「実はさ、両親が離婚したんだよ。今さら…」






意外な言葉に、美里は何も言えなかった。







勝手に、聖の親は仲良しなのだろうと推測していた。






それなのに、いきなり離婚だなんて、理解ができなかった。






「どうして…」






美里は小声でつぶやくことしか出来なかった。







「美里さん、今から家行ってもいい?」






聖の悲しそうな声、美里は迷うことなく「いいよ」と呟いた。






心のどこかで、嫌な胸騒ぎを抱えながら。







< 180 / 278 >

この作品をシェア

pagetop