ペテン師の恋
聖は顔をあげ、唇を重ねた。






二人は深く、口づけを交わし、身体を求め合った。







お互いの、親の勝手な理不尽な行動で、苦しめられ、苦悩する。







誰にもぶつけられない、もどかしい気持ちを、お互い求め合うことで、紛らわせていた。







二人はベッドに横になり、何度も求め合った。






事が終わると、二人は余韻に浸るように、ベッドでくつきながら、横になっていた。






「私の母もね、再婚するんだって、もとから父親はなんて知らないけど、母らしい愛情も知らない。なのに、再婚相手が私に会いたいって言うらしくて、今度顔合わせするの…二年近く会ってないくせに、今さら、親子だと思われたくない…」






そんな美里を今度は優しく聖が包んだ。






「美里さんも辛いよね。なんで、自分しか見えてない奴が親になるんだろう。自分のことだけしかみないなら、子供育てる権力ないよな」






お互いの親に不満をもち、切れない絆が二人を縛り付ける。






身動きがとれない立場が、凄く息苦しかった。






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