ペテン師の恋
橘という男は、無礼な美里を見ても笑顔で対応してきた。






「さすが、君の娘さんだよ。こんなに綺麗なんて」






それに気をよくしたのか、母親の表情も緩んだ。






「ありがとう、橘さん」







橘はいかにも、金持ちな感じで、おおらかなイメージだった。







だが、腹黒さをもっている。下手に信用したら、きっと、とことん追い詰めるのが得意なタイプだ。







「さあ、店に入ろうか。私の息子も遅れてくるから」






息子?






美里はうんざりした顔をした。






「私、いきなり兄弟できるの?本当、非常識な人たち」






美里は嫌味だけ言うと、先に店に入っていった。






険悪なムードのまま、三人の食事会は始まった。





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