ペテン師の恋
異様な空気は、きっと、美里と聖にしかわからない。






母親も、ここぞとばかりに、聖に気に入られようと接客をする。







まるで、指名をもらうのに必死なキャバ嬢だ。







聖もぎこちない笑顔を作り、あしらっていた。








「父さん、どうしても籍を入れたいの?」







食事会も終わりに差し掛かったとき、聖が聞いた。







突然の問いに、母親も不安そうな表情で聖をみた。







「それは、入れたいが…」







橘も、聖の様子をうかがうように返答した。








美里も、聖の顔色を伺う。







すると、いつものように優しくにっこり微笑んだ。







「こんなに、綺麗な人が姉になるなんて、恋をしないほうがおかしいよ」







美里は顔を赤くして、下を向いた。






急な聖の言葉に動揺し、理解ができなかった。







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