ペテン師の恋
橘と母親も、動揺した様子で、うまく言葉が出ないようだった。







「やだなぁ、みんな固まって…もしもの話だよ」







聖は笑って誤魔化そうとした。それに安心したのか、橘も母親も安堵した表情を見せた。






「ただ、そうなりたくないから、俺は父さんの籍から外れて、母さんの籍に移るよ」







橘は慌てて、聖をなだめた。






「何言い出すんだ。確かに美里さんは綺麗だけど、素敵なお姉さんができて良かったじゃないか。お前とは、一緒に会社も安定させていきたい」







「浮気しといて、よくそんなこと言えるね。俺は母さんにつくよ。あんたはあんたの人生を歩むんだ、息子は今日でおしまい!」







聖は言い切ると、席を立ち、その場を離れた。







美里も、このタイミングを逃さぬよう、立ち上がった。






「私も失礼するわ。籍にこだわらなくても、勝手に恋愛してればいいじゃない」







捨て台詞を吐き捨て、美里も優雅に席を立った。







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