ペテン師の恋
店の外へ出ると、美里は辺りを見回した。







美里が聖を探そうと走ろうとした瞬間、携帯がなった。






ディスプレイには聖の名前。美里は慌てて電話にでた。






「聖?」







「美里さん、落ち着いてよ。とりあえず、この付近では一緒に歩けない。美里さん家行ってもいい?」







焦っている美里とは逆に、聖は冷静に美里に指示を出した。







「わかった…」







美里はタクシーを拾うと、急いで家に向かった。






母親と橘に紹介された動揺が、美里を包む。一刻も早く聖と二人で話がしたかった。







美里は自分の家につくと、お釣りをうけとらず、タクシーを飛び出した。







マンションの前には、愛する人がたっている。それだけで、美里の心は楽になった。







そして、聖も美里を見つめ、優しく微笑んだ。







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