ペテン師の恋
美里の部屋に入ると、聖は複雑な表情で美里を抱きしめた。







「聖?」







美里は聖が震えていることに気付き、聖の頭を撫でた。







「嫌に決まってるじゃん…」







聖はか細い声で呟いた。






「嫌だ?」







「美里さんが姉さんになるなんて、嫌に決まってるだろ」







そういって、聖は力強く美里を抱きしめた。







美里も、聖の辛さが身に沁みて、徐々に不安が押し寄せてきた。







「俺が、美里さんと結婚したい。姉弟になる前に…」








聖の願いは、美里の願いでもあった。








初めて愛に触れた二人は、幼いながらも、真剣に思いあっていた。







ただ、そこにあるのは年齢の壁だけだった。聖がこのとき、18歳になっていたら…










そんな壁を抱えたまま、母親たちの行動はそく行われ、二人は姉弟になってしまった。







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