ペテン師の恋
ママは、母を庇いながらフォローもしてくれる。







私がしたことは、母を救えたのだと、思っていいんだね。








過去に浸っていると、突然、看護師がやってきて、私たちを現実に戻した。








「桐崎朱一さんのお連れ様ですよね?」







私は突然不安にかられ、立ち上がった。






朱一の手術が終ったんだ。







「無事、手術が終わりました。今は麻酔で眠っています。先ほどもお伝えしましたが、急所も外れていたし、そんなに深くなかったので、安心されて大丈夫ですよ」








私は、看護師さんの言葉に安心して、一気に泣けてきた。これは、嬉し涙だ。







ママは後ろから私の頭を撫でて、落ち着かせてくれる。








もう一度、朱一と話せる。







どうして、私を助けに来てくれたか







本性を明かしたのに、今さら私の点数稼ぎしなくてもいいはずなのに…







でも、そんな問いより、今は朱一と話したい。あの瞳で、見つめてほしい。ただ、それだけを願っていた。







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