ペテン師の恋
私は眠る朱一に語りかけた。







「ねえ、どうして朱一は、初めて会ったときから、勝手に私の心に入ってくるの?」







気にしないようにしてたのに、会った瞬間から、気になって仕方なかった。








「あなたはペテン師みたいな人ね。優しくしてくれたと思ったら、冷たいこと言うし、急に私を陥れようと瑞希を利用したり、私を憎んでいて…なのに、瑞希に襲われた私の身代わりに被害あって…」







話していると、涙が流れた。これは、なんの涙なんだろう。







「全然あなたが分からないよ。なのに、私はあなたが好きになった。自分でもよく分からないけどね」







私が問いかけていると、突然、私の手を朱一は握り返された。







「朱一」







私は涙をふいて、しっかり朱一をみた。







朱一は、ゆっくり目を開き、少し歪んだ笑みを見せた。







< 200 / 278 >

この作品をシェア

pagetop