ペテン師の恋
やっと、目を覚ました朱一、私も自然と泣きながら笑みが溢れる。







「ずっと、側に居てくれたのか?」







私は、うなずいた。







「ダサいな。生まれて初めて、自分がダサいと思ったよ」








朱一は壁を見つめて、自分を皮肉るように言った。







「どうしてよ、急に突き放しといて、こんなときに助けにきてさ…憎んでるって言ったくせに」







可愛くない。心配してたのに、大丈夫?の一言が言えなかった。







「相変わらず、性格は可愛くないな。まあ、当たり前か…」







こんなときにも、冗談を言って私を理解してくれる。







「可愛くないなんて、言われたの初めてよ」







私と朱一は笑いあった。







優しい朱一の瞳に、間違いなく、私は映っていた。







それだけで幸せな気持ちになってしまう私は、単純なのかな。







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