ペテン師の恋
「何故…?」



私は無意識につぶやいてしまった。



「えっ?なんだって?」



ママの活気のある声で現実に戻された。



「ん?なんでもない…とりあえず支度したらママの家いくから…切るよ」



私は一方的に電話を切り、ベッドから出た。



洗面台へ行き、長い髪を束ねた。



キャミソールにショートパンツで寝ている私は、鏡に映る自分のキャミソールからはみ出してみえる、左胸にある朱色の揚羽蝶に触れてみた。





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