ペテン師の恋
だけど、私は、親不孝者だ。








母を殺めた男を愛してしまった。









「美里さんにも、言いたかったな。俺の唯一の子孫を残してくれてありがとうって…」









本当のことを言ったら嫌われてしまうだろうか。









もしも、母を殺した犯人を憎んでいたら、私は、朱一が戻ってきたら一緒になりたいと考えてしまう。









そんな私を許してくれるのかな。









「ねぇ、母を殺した犯人憎んでる?」









憎んでるとしても、仕方ない。だけど、嘘は付きたくない。









朱一を愛してることを恥じたりしたくない。










「どうだろうな…憎んでるというより、美里さんが死んだ事実のほうがショックで、それ以上は考えられないな…」








確かに、長年会わなくて、突然、亡くなった事実を聞いたら、犯人どうこう考える余裕はないかもしれない。









< 249 / 278 >

この作品をシェア

pagetop