ペテン師の恋
それは私が中学二年のときだった。



母は一人で出掛けることが多くなった。



私も中学三年になり、少しずつ母から離れていたが、母の新しい男の影には気づいていた。



そして、夜中に相手である男を想って、頭を抱え泣いている姿も度々みるようになっていた。



そんな母を陰で見ていた私は、なんだかとても胸が苦しくなっていた。



だから、15歳の誕生日に私は母と話をした。



母が溜め込んでいた気持ちを涙を流しながら、すべてを話してくれた。



何度も何度も「ごめんね」と言う母の気持ちは、きっと、愛した彼のもとで幸せになりたいという、女としての願いがあるように感じた。



だから、私は母を解放してあげることにした。



最後の誕生日プレゼントに一生消えない母の面影を刻み、私は母の子供を辞めた。



そして、今、母と同じ道を歩んでいるんだ。



タトゥーはいつもドレスから見えないように隠しているから、知っているのは私を抱いたことのある男たちだけだ。



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