ペテン師の恋
そして、笑顔を私に向けてくれた。









「彼が、自首してくれなければ、美里さんが亡くなったことも知らなければ、こうして、君と出会えることもなかった」









聖はすべてを前向きに考えてくれる。








こういう考え方、凄く好きだ。










「朱美が彼を変えてくれたんだね。ありがとう」








そして、凄く嬉しい。









「どうして…?お礼言われるような人を好きになってないのに…」









「どうしてかな…。でも、誰かを失って、また誰かと再会する。運命なんて、残酷だけど、残酷を知るから幸せを感じれると思うんだ。

美里さんを失った大きな傷と、朱美に会えた幸せ…。きっかけがなんであれ、朱美にずっと会いたいと思っていたんだ。

罪を背負った者に、正しい道しるべになった。


そんな素敵な娘になっていて嬉しいよ。
自慢だ」









受け入れてくれた…








自分の複雑に絡み合っていた糸がほどけていくように、気持ちが楽になっていった。







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