ペテン師の恋
飛んでいるのか



どこかに身を休めているのか



わからないが、揚羽蝶の横向きの絵に惹かれて入れてもらった。



母が好きだった朱色だけで描かれた揚羽蝶は



母に見せることなく、私は服で蝶を隠したまま、別れの道を歩んだ。



その後のことは何も知らない。



なのに、あんな形で再び母の生涯を知ることになるなんて、知る予知もなかった。


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