ペテン師の恋
「いらっしゃいませ」




その声に私は入り口を見た。




きっと、彼だと直感で思ったからだ。




案の定、昨日と同じ、黒いスーツと帽子をかぶった朱一が現れた。




私は、相手をしていた客に「ちょっと、失礼します」と伝えて、彼の元へいった。




近づく私に気づいた彼は、帽子を脱ぎ、私に微笑み軽く会釈した。




綺麗な金髪の髪が左目を隠して、本心も隠しているような雰囲気が漂っていた。




本心を隠しているくせに、人の本心を見透かされてしまうような感覚に陥るが、ここは私のお城、恐れることはない。



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