ペテン師の恋

東京の夜景が綺麗に見渡せるリビングに、モノトーンで大人でお洒落にまとめられたこの部屋には、生活感を感じられないほど綺麗に整われていた。




「綺麗なお部屋…」




これは営業ではなく、自然に出てきた。




そんな私に彼は後ろから抱きしめた。




私もすぐに仕事モードに切り替え、抱きしめる彼の腕をそっと握る。




しかし、そんな甘い状況とは裏腹に、彼が耳元で発した言葉は私が今まで言われたことのない冷酷な言葉だった。




「お人形さん、仮面はそろそろ外してもいいんじゃないですか？」




まるで、小説のワンフレーズのような言葉に、背筋が凍った。




私は彼から離れ、彼の顔をみると、そこには童話から飛び出したような冷酷な笑みを浮かべる道化師がいた…