ペテン師の恋
私もペースを乱されないように、反論した。




「それは光栄ね。あなたみたいな人、どこにでもいるもの。プライド高くて、俺に落とせない女はいないって言いたいんでしょ?」




そういうと、私を押し倒した手に力が入った。




「ちょっと違うな、君も読みが甘いね。僕は君が欲しいわけじゃない」




「どういうこっ…!?」




私の問いを聞くことなく、朱一は私の唇を唇で塞いだ。




朱一は激しく舌を絡ませると、唇を首に落としながら、私のワンピースの胸元に手をかけ、服をずらした。




しかし、その瞬間、彼の動きが止まった。




きっと、アレを見たのだろう…




私の左胸でさ迷う朱色の蝶々を




私は彼の行為にも、動じていない演技を続けた。



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