ペテン師の恋
朱一は左胸上にある蝶のタトゥーに優しく触れた。




さっきの苛つかせる笑みは消え、複雑な表情をしていた。




これが、初めて貴方の素顔を見た瞬間だったね。







あのとき、貴方は何を想っていたの?







憎い筈の私に描かれる朱色の蝶







貴方の思い出のあの人と同じ、絵柄を持つ私…







この蝶がいなければ







貴方は私に、復讐を遂げていたかもしれないね




< 52 / 278 >

この作品をシェア

pagetop