ペテン師の恋
朱一は私を抱き抱え、寝室へ連れていった。




ベッドに寝かした私の頬を、朱一は横に座りながら撫でる。




「ゆっくりおやすみ」




そういって唇を重ねる朱一は、部屋を去ろうとした。




「行っちゃうの?」




無意識に彼を引き止める自分がいる。




「寂しいのか?」




朱一はからかうように言った。




「そ、そうじゃないけど…あなたはどこで寝るの?」




こんなこと、聞きたいわけじゃないのに、会話を繋げていたかった。




「僕はソファーで眠るよ。安心して?お姫様を抱くことはしない」




なんだか、朱一の言葉が哀しく感じた。




「そんなの、悪いよ。私がソファーで寝るわ」




私が立ち上がろうとすると、彼は私の肩をベッドに押し付けた。




「君は大切なお人形なんだ、丁寧に扱いたいのは当然だろ?」




私は、人形扱いばかりする彼に腹が立ち、朱一の頬を平手打ちした。




「バカにしないで!!」




怒る私を朱一は嘲笑った。



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