ペテン師の恋
その後、他愛のない話を続け、和食屋についた。






いかにも高級そうで、客はいても、会話がもれない個室になっていた。





「いらっしゃいませ、桐崎様」





店に入ると、すぐに支配人らしき人が出てきて、朱一に挨拶をした。





「いつもの部屋、空いてる?」





「もちろんでございます。さあ、こちらへ」





かなりの常連らしい。





自分の固定の部屋があるなんて、さすが、有名作家は違う。





部屋へ案内されると、そこは、庭園が綺麗にライトアップされている部屋だった。





「ごゆっくりどおぞ」





そういって、支配人はでていった。





「凄いお店ね、景色もこんなに綺麗な庭園みれる和食は初めて」





「気に入ってもらえた?僕もこの景色に惹かれて、結構月に二、三回はきてるんだ」





女の子ともよく来るのかな?






そんな疑問が浮かんだが、口にはださなかった。





そんなの、あるに決まってるし、私が気にすることじゃない。





私は自分に、そう言い聞かせた。





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