ペテン師の恋
俯いて黙っている私に気づいた朱一は、対面に座っていたのに、私の隣に座り込んだ。





「な、何!?」





私は、慌てて少し離れた。





「寂しそうに俯いてたから」





そういって、またイタズラな笑みを浮かべて、私の顔を覗き込んでくる。





私の嫌いな笑みだけど、なんだか憎めない。





だんだん、愛嬌にさえ感じる。





「それは、どうも、別に寂しくないけど」





どうしても、私は彼を見つめ返すことが出来ない。
恥ずかしくて、目を背けてしまう。





「女性をこの店に招いたのは、君が初めてだよ」





「えっ…」





私の心を本当に見透かしているのかな?





悔しい…





でも、一番聞きたかった言葉が聞けて、自然と笑みが溢れてしまう。





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