ペテン師の恋
もう、仕事の話しは止そう、そう思い、今度は家族の話を聞いてみる。





「そう…、ご家族は?ご両親は国際結婚とか素敵じゃない?」





「そうでもないよ。母は君と同じような夜の仕事をしていて、父親と出会ったんだ。だから、最後には父親に別の女が出来て、母親は捨てられてね…。母親はそのあとすぐに、命を絶ったし、父親も今はどうしてるか、全く知らないよ」





なんだか、他人事とは思えなかった。





夜の仕事をしていたら、よくある話。





金持ちであれば、心より金銭面の安心を求める。





それ故に、その関係は心の繋がりをもった相手が、付き合ってた男にできれば、女は捨てられてしまう。





「なんだか、ごめんなさい…」





あまり、幸せとは言えない人生を歩んでいる朱一と、話せる会話が見つからない。





辛い過去を思い出させる真似しか、私は出来ない。





そんな自分が無力で、せっかく身につけた、偽りの会話術ですら、通用しないだろう。





「こっちこそ、あまりいい人生じゃなくて申し訳ないね」





朱一は申し訳なさそうに、軽く微笑んだ。





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