ペテン師の恋
「ごめんなさい、今から予定あるので切らせていただきます」





話を聞いてしまったら、仮面を外される恐れがある。





だから、私は一方的に電話を切ることにした。






敵のペースなんかにはまれないんだから。





「朱美ちゃん、お待たせ」





そのとき、後ろから平山の声が聞こえた。





私は笑顔で振り返り、お仕事スタートした。





「平山さん、今日なんかいつもと違うね」





甘い声で、平山の腕にそっと絡めた。





「そう?なんか変?」





「平山さん、このコート初めてみるからかな?いつもよりさらに格好良くみえるから」






平山の性格は手に取るように解る。彼は私にとってのエースだ、この二日間頑張ってもらわなければいけない。





どうしても、譲れないものがかかっているんだから。




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