ペテン師の恋
店につくと、私の出勤より先に朱一と瑞希がすでに盛り上げていた。





だけど、私は焦らない。





瑞希に群がるのは、少しでも売り上げをあげたい女の子たちの、おこぼれ貰う作戦だろう。





一緒に瑞希の売り上げを盛り上げ、自分の点数も稼ぐ。





新人の女の子たちは、そうして自分の順位をあげていく。





自分の客が安定するまでは、トップの先輩と仲良くして、同伴も一緒にさせてもらったりと、いろいろな努力をするものだ。






「あれって、作家の桐崎朱一じゃないか?」






盛り上がっているテーブルをみながら、平山は言った。





「そうみたいね」





私は、その話題に興味を示さない。





これも作戦のうちだ。





瑞希、あなたたちを利用させてもらうわよ。




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