ペテン師の恋
平山の手招きに、来てくれたのはケイだった。





「この楽しいイベントに私も参加しよう、皆さんのテーブルにシャンパンをプレゼントしてくれ」





平山の宣言に、再びフロアの歓声が大きくなる。





「かしこまりました」






ケイは一礼すると、準備をしに行った。





瑞希は、悔しそうな顔で私を見ていた。朱一は、相変わらずあの笑みを崩さない。





私だって、負けられない。だから、勝ち誇った笑みで二人を見つめた。






でも、心の奥は、二人を見つめていると、苦しかった。





何故、私の隣には朱一がいないんだろう。





そんな無駄な問いかけの答えなんて、わかっているのに…






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