ブラックボード
また、風が舞い込んできたように感じた。
私たちの間を吹き抜ける風は、程よい沈黙をもたらしてくれるみたいで。
交わることのなかった視線が、今やっと1つになる。
「…突然、そんなこと言われてもなぁ。」
「良いから教えてください!」
そう言って私は先生に少し近づき、先生のワイシャツの腕の部分に軽く触れてみる。
私にとっては、未知の世界だった。
周りから自分はどう見えているのか。どう映っているのか。
先生の目には、私はどのような生徒に映っていたのか。
想像してみても、想像しきれない。