ブラックボード
先生はまた、私の目から自分の目が見えないように顔を少し伏せて。
入学式の時から幾たびも見てきたあの、困った時のぎこちない表情をした。
「…手のかかる生徒だったよ。」
ポツリ、と。
困った先生が絞り出すように告げたのは、ただそれだけだった。
私はやっぱりかと、小さく首をすくめて見せる。
「窓ガラス壊したり、小学生レベルの問題が解けなかったり。」
「先生にもタメ口だったり、ね。」
自分で思い当たる節を言いながら、クスリと笑って見せる。
そんな私につられて先生も笑ってくれるから、なんだかじんわりと気持ちがあったかくなった。
「こんな生徒、はじめてだったよ。」
ただその笑顔は、満面な笑みと言うよりは苦笑いだったけど。
それでも、嬉しい。