Desire kiss


まるで勝のキスは麻酔をかけられたかのようで。


勝がさらに前へ出ると思ったら体は火照り、涙があふれる。

徐々に抵抗する力が弱まっていくのが分かる。


微力な自分に叱咤したつもりでも、勝の腕の中にいると…どこかほっとする。


ああ、あったかいなって。ずっと、ここの場所にいたかったんだなって。


そして認めたくない感情――…この行為に心が揺れて、今にも破裂しそうに膨らんでいく。


どうして、どうしてこんなことをするの?

勝、そこまで私のこと嫌いだったの…?


気持ちいい、なんて絶対認めたくなかった。こんなことを思う自分が嫌だった。


でも…もう、力…出ない。


「…んちゅ、」


生々しさに脳が、溶けていく――。


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