Desire kiss
分からないよ。
普通、好きな子どうしが気持ちを確かめあうみたいに重ねるものだと思う。
存在を分かち合う…ものじゃ…ないの?
「好きな子と間違えた?いやいや、そんな馬鹿な話って……だけどおかしいよね、何であんなキス、を…」
――…触れる、上唇。
なぞるように動く柔らかな口の交わり。
あの感覚は絶対おかしかった。まるで、溶けあうみたいに思考回路も体の五感も、少しずつ分からなくなっていった。
強烈な感覚に、頭が真っ白になっていって…。不思議なほど、心地よかった。
なんだろう、体温を感じあう事に、こんなに安心をおぼえるなんて。
私って、重症かな…?
「…ん?」
…心地、よかった?
「や、違うから…!え、そんなこと…私、変態みたいな考えじゃん…!勝のキスが上手かった、だけ……」
ああ…とうずくまった。
そんなことで片づけていい問題なのかな。…私たちを繋ぐものが、崩れていくような。
だって、勝の表情、いつもと違っていたのに。
男の子って、分からない。勝が、理解できない。
自分も、よく分からない――…
「…冷えるから、帰ろう…」
一人淋しく呟いて、ゆっくりと自宅へ戻っていった。