Desire kiss
「なんとなくだけど。え、ビンゴ?」
さすが零、目ざといというか、勘が鋭いからなあ。
自然体を心がけてるんだけど、やっぱり気づいちゃうよね。
私も何かあったらピンと来る時あるし、何年も一緒にいる仲だって改めて感じる。
「いやいやいや!何でもないんだけど、何でもない!」
自分で何言ってるか分からない、テンパってしまう。立ち止まって慌てた。
両手を振って否定するが、零に笑ったまま言い返す。
「日本語おかしいよ、心菜。そうかそうか、ついに心菜も巣立ちの時?言えないことが増えちゃったとか?」
巣立ちって、私は雛鳥?と笑っちゃう。
「そんな!零に隠し事なんてできるわけないもん。絶対気づいちゃうでしょ」
「まあねー、心菜は分かりやすいから!すぐ表情出るでしょ」
「うわ、やっぱりそう?自分でも嘘はなかなかつけない性質だから」
よっしこのまま話題をそらしていけば…!と思ったが失敗だった。零から逃れることはできない。
「で、何があったの?さあ、口を割るんだ」
じわりじわりと攻めに入ってくる。ここまでくるともう、避けられない。
「実は、ジンにお気に入りのプリン食べられてさあー……おばあちゃんに1時間も並んで買って頂いたのに、名前書いてないからいけないんだろ!とかほざき出してシメた!いつもの目に負けて肩もみで許しちまった」
「はあー?なにやってるんだジンは!」
よっし、これで乗り切れる。まあ嘘偽りはなかった。
「金曜、唯一の至福の時を奪っちゃったんだから、それなりに怒ったよ~」
苦笑いして零に言った。