Desire kiss
「あ、時間やばいかも。少しいそごっか」
肩にかけていた鞄から携帯を見ると時間が結構迫っていた。
零とおそろのストラップが揺れた。
待ち受けは女子バスケ部でとった貴重なプリクラだった。零が少し無愛想な顔をしてて、私はそれを見て笑ってるやつ。
やっぱり可愛いなあー皆っていっつも思う。
「うん、ていうかだるいなー。どうせ心菜目当てばっかりでしょ。また追い払わなきゃいけないじゃん」
なんか準備体操しちゃってる。
「そんなわけないよ、零はすっごく鈍感だから気付いてないだけだぜ」
「はあー?」
「行こ!待たせるのも申し訳ないからさ」
駅が見えてきて、休日なのに人は少し多かった。
部活生もいたし、サラリーマン風のスーツを着た細長の若い人が、時間が迫っているのかダッシュしていた。
零はふぅっと息をついてゆっくり歩いている。
駅はまあまあ大きいから探さなきゃ分からない。それなりに目立つと思うから、すぐに見つかるはずなんだけどなーと思っていたら。
あ、大木がいた。
「ん?あれかな――…?」
なんだか部活帰り話していた人より多い気がする…。
あれおかしいな、見慣れた二人組が仏頂面で腕組みしているんだけど、なぜ?
「…ちょっと待って、なんで緑と勝がいるわけ?」
零も気づいたらしく、心菜に問いかける。
「…さあ?」
それはよく分からない。