Desire kiss
「お、お待たせしました…」
いやまだ11時前じゃないけれども!
大木に奇妙な心地で手を振った。緑と勝は何だか睨みつける様に見てくる。怖い。
後ろから強烈に突き刺さる視線に背中が痛く感じた。思わず足を止めてこちらを見て話してる子多数。
非常に気まずい。黄色い声がわんさか飛んでくるんだけど気のせい?
きゃあきゃあと叫んでいるのがすごく伝わってくるんだけどなあ…。
「よう、花柄」
花柄、って…。いつものノリだったから笑って返した。
「おはよ、大木。なんか制服見慣れてるから印象違うなー。かっこいいじゃん、やっぱり男の子だねー。髪の毛も似合ってるよ」
素直に思った事を言ったら大木は案外素っ気なかった。褒めてるのに。
「…っ、別に普通だろ?」
「本当の事言っただけなのに」
「もう、心菜!まったく、またそんな発言を…!」
なんでだろう、零は溜息をついてしまった。
「え?なに?」
「あー、皆の評価はいらない。とりあえず何も言わなくていいから」
「え、何それ?」
首をかしげるが、内容は教えてくれなかった。
その間、じりじりと感じる目線に耐えきれなくて、尋ねてみた。
「…ええっと、なん、で…緑と勝がいるの、かな?」
「あ、それは…」
大木が緑や勝をちらっと横見して反応を窺っている。残りの3人の男子も居心地が悪そうだった。
「はっ、いちゃ悪いか?」
緑はつんつんした態度で上から目線だった。怒ってるのは確実で、機嫌がすこぶる悪い。
「いや、そうとは言っていないけど…」