Desire kiss
ほぐれた関係
『ほら!起きなさい!』
どこにもありそうな、普通すぎる、朝の光景。
『んー!まだまだ寝る―!疲労で死んじゃうよー』
眠いせいか呂律が回らなくて、ぼんやり前が見えない視界。
おいしそうな朝ごはんの匂い。
お父さんの眠そうな声。
眩しい窓から見えるのは優しい光。
『バカ言わないの!人間八時間寝たら、生きていられるのよー!』
『うわー!マイ枕――ッ!ギブミ―!』
私には、もうそれができない。
お母さんは、もう、いないから。
だって、死んじゃったから。