Desire kiss
――その日の帰り。
移動授業を終えて、急いで教室に向かった。
石井先生監視のご指導(皮肉)のもと、テキパキと終わらせていく。
もっとも綺麗好きでもあるために、掃除でもやっぱり綺麗な形で終わらせたい。
完璧主義なのかな。世話好きでとことん心配性だと自負している。自分でも気づかないうちに家では掃除機をかけていたりする。
「先っ生ーどうやったらこの汚れとれるんですか」
「こすってこすって、磨き続けろ!」
「そんな適当な!?」
どこまでも無慈悲な先生だ、なんて思った。
数学の教科の先生だし、相性が悪すぎる気がする…!
先生は家庭内事情も知ってるはずなのに!このヤロー!と心で叫ぶ。
「――…なんて嘘だよ。弟くんたちが待ってるんだろ?しょうがないから一週間にしてやるよ」
「まじっすか!」
天使!と思う。なんだ分かってくれてるのか。感謝感謝。私って単純。