Desire kiss
ぐんぐん、歩くの早い。
息切れしてしまうスピードだ。勘弁してよ。
「そこまで、いっしょに歩くの嫌?」
傷つきながらも精一杯聞く。悔しくて、きっと睨んだ。
「……お前、何なの」
勝の声、こんなに近くで聞いたの何年ぶりだろ、ちょっと感動。
うわ、心臓がドクドクいってる。話すんだから、落ち着いてよ。
「古井心菜」
とっさに自分の名前を言った。それしか浮かばなかった。頭が働かない。
「何したいわけ?」
「いや、とくには」
「俺に用がないんだろ」
「うん…」
「じゃあ、用なし」
そう言って更に早く歩き出す。
風、みたい。
家は隣で近いんだから送ってくれてもいいだろ!仮にも私、女の子ですが…