Desire kiss
「かたづけしなさ――いっ!!」
その瞬間、地を揺るがすような大音量で叫ぶ。一瞬だけリアルに家がぐらりと揺れた様な気がした。
「もちろんです!」と、二人揃って声をそろえる。
怒りMaxだったせいか、湯気がでる勢いで二人を非難を浴びせた。
「仁!あんたは私の大事なへそくり(…言っちゃった)で買った花瓶を割り、そして今日!!家をめちゃくちゃにした!!こうなったら終身刑よ!」
「終身刑!?」
素っ頓狂な声を上げ、仁は唖然とする。緑はさりげなーく、この場から退散しようと試みる。
「こんのみどり!」
「え、俺の事!?」
「あんたの罪は仁よりも重いわ!年頃の乙女を辱める暴言をはき、そしてその住処を荒らすという凶荒におよんだ!よってこの家に近寄る権利を剥奪する!」
「ちょっと待て!」
なんだこの迫力満点の華麗な弁舌は…言い返せないと緑は冷や汗をかいて焦っている。
「緑兄ちゃんがいないとバスケがうまくならないよ!!」
仁の悲痛な叫びに、うっと言葉がつまる。
――…私はこんな声に弱い。