Desire kiss
「…俺、大会近いから緑兄ちゃんの卓越したバスケセンスを教わってただけなんだよ。いつの間にかこんなことになってた…」
その捨てられた子犬のような瞳に心菜はもっと言い返せなくなる。
仁は中二のバスケ部に入っている。
朝早く起きて、朝連に行ってるのもちゃんと私は知ってるんだ。
一応上手い部類に入っているようで一年からレギュラーに抜擢された実力もある。
毎日疲れて帰ってきてることも。本当にバスケに対する思いは強い。
「……仁」
ああ、もうつくづく私はお人よしだなあ…と溜息をつきながら思っていた。
「仁が頑張ってることもココ姉は知ってるから。今回も許してあげるけど…悪戯半分にこれ以上やったら許さないからね?」
「さっすが!」
優しい自分に乾杯!
嬉しさで目を輝かせる仁は最高にテンションが上がっている。その様子に笑うしかない心菜。
甘い、甘いぞ自分。
まず、ゴミを拾って掃除機であたり一帯をくまなく掃除する。