Desire kiss
「忙しいー!」と声が返ってきた。掃除中に違いない。
ざまあみろ、ぼけ、と言いたいけど…可哀想だからやめにしとく。
「瞬でいいや!美羽の相手してあげててー!」
「ごめん、ココ姉!今漫画の超超重要シーン!あああ!比呂志、そこは顔面パンチだろぉお!」
うわぁあ!と奇声を上げている。
瞬の大好きな漫画『比呂志の波乱万丈ライフ~仲間とともに駆け抜けたエネルギッシュフルパワーの巻~』だった気がする。
本当にどうでもいい。
――…この、役立たず!
「美羽も手伝うー」
「ありがとうね、美羽。そうだなぁ~そのお皿持って行って」
「あーい!」
可愛く返事して、持って行った。
美羽はまだ包丁を持つなんてできないだろうから。