Desire kiss
「ココ姉!いつまで…!」
美羽の頭を撫でてあげていると、猪突猛進の勢いで華麗にドアを開けてスライディングも決めた一人の人物。
さらさらのこげ茶色の髪で、少し浅黒な肌をした、我が弟が部屋に攻撃にしにやってきた。
火をはきそうな猛獣だ。中学二年生の仁が襲いかかる。
「おい今日こそ弁当は八宝菜入れるんだよな!?」
「昨日の残り物があるでしょー?」
「いや!!ココ姉なら五分で作れる」
「断言スンナ」
さあて、みんなの朝ごはんと、お弁当を作らなきゃーと、張り切ってカーテンを開けると…
最終手段に出た弟が土下座の体制に入った。
「たのむよ!ココ姉の八宝菜がねぇと…」
部活に力が入らねえ、と嘘泣きをする。
その光景を何百回も見てきた私は「……」と沈黙。
「たのむって!友達と交換するんだ!」
「はいはい。お野菜あったらね…」
しょうがない、と台所に向かった。