Desire kiss


「ここ、な…?」

その瞬間、心が高鳴った。

名前…何年ぶりに呼んでくれた。感動して、思わず鼻がつんと痛くなった。嬉しくて涙が出そうになる。


そして無言の沈黙が……流れて困る。


なんでそんなに固まるのか分からない。

いつもみたいに突き放すのかと思ったけど無反応ってもっと傷つく。


ただ、じっと自分の方をみて、睨みつけてる。


夢と現の間を彷徨ってるようで、おぼろげな黒い瞳がぼんやりとしてる。

眠りを覚醒させようと、勝に近づいた。何の危機感も、なく。


「おはよう、目覚めた?」

「……おま…、なんで」


戸惑った様子が可笑しくてついつい笑ってしまう。

そしてまた何粒か、勝の手に髪の水滴が落ちていく。


そういえばちゃんと体拭いてなかったなと、思う。

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