プリンセス〜かけがえのない人〜
「……っ!!」
「着いたよ。もう大丈夫だから…目、開けていいよ」
おそるおそる目を開けると、そこにはあたしが今まで見たこともない世界が
広がっていた。
空は淡いピンク色に輝いていて、辺りは一面綺麗な花が咲き誇っている。
水色の小鳥があたし達の頭の上で、ちち…と鳴いた。
「ここ……どこ?」
あたしが住んでる家の近くにこんな場所はない。
それに、空がピンクって…あたし、目がどうかしちゃったのかな……。
「ここはパラレルワールドだ」
「…パラレルワールド??」
「そう。パラレルワールドっていうのは、君達が住む世界と並行して存在する、
別の世界のことだ。だからこの場所には見覚えがあるはずだけど?」
え……?
見覚えなんてあるはずない―――
「……あっ!!!」
わかった、ここって……
「そ。ここは君達の世界で言うと、皇居って言うのかな」
「皇居……」
確かに、自然が豊かすぎて気づかなかったけど、
よくよく辺りを見回してみると皇居に間違いなさそうだ。
だけど…
「なんで皇居にいるわけ?あたしにはぜんっぜん関係ない場所なんですけど…」