神龍の宴 覚醒の春
訝しげに軍の会議室に向かい、画面に映し出されたエフォナ側の将の顔を見て、ハダサはとても嫌な感じを覚えていた。
エフォナの将はハダサより少し年上のようだが、十分に若い男で意外だった。
精悍な整った顔立ちをしているが、片目の上に大きな太刀傷が走り、荒んだ空気をまとっている。
何より印象的だったのは、片方残った赤い瞳だ。
その瞳を、ハダサは何処かで見たような覚えがあったが…。
「ハダサ・ドゥアス准将か。なるほど、噂に違わぬ綺麗な男だな。…昔とちっとも変わらない」
「お呼び出しに従いまして参上しました。ハダサ・ドゥアスです。…何処かでお会いしておりますか?」
ハダサは怪訝そうに尋ねる。
「今はハドル・シンと名乗っているが、私の本名は、アナストリア・シャストンだ。…この名前に覚えはないか?」
アナストリア…シャストン。
その名を聞いた瞬間、ハダサは背筋が凍りついたような錯覚に陥った。
「アナストリア?まさか…あの、アナストリアか?」
思わず息を呑んだ。
赤い瞳。そうだ、自分はこの赤い瞳を知っている。
エフォナ将軍、ハドル・シン…いや、アナストリアは、ハダサの青ざめた顔を見て、満足げに嘲笑った。
「思い出してくれたようで感謝する。ならばこれからの話も貴殿にはよく理解できるであろう」
アナストリアは驚愕に震えるハダサを赤い片目を細めて見据えると、殊更ゆっくりと口を開いた。
「…アデュスは返してもらう。返してもらうよ、ハダサ…」
と。
刹那。ハダサの頭の中を、走馬灯のように16年前の惨事がよぎっていった。
エフォナの将はハダサより少し年上のようだが、十分に若い男で意外だった。
精悍な整った顔立ちをしているが、片目の上に大きな太刀傷が走り、荒んだ空気をまとっている。
何より印象的だったのは、片方残った赤い瞳だ。
その瞳を、ハダサは何処かで見たような覚えがあったが…。
「ハダサ・ドゥアス准将か。なるほど、噂に違わぬ綺麗な男だな。…昔とちっとも変わらない」
「お呼び出しに従いまして参上しました。ハダサ・ドゥアスです。…何処かでお会いしておりますか?」
ハダサは怪訝そうに尋ねる。
「今はハドル・シンと名乗っているが、私の本名は、アナストリア・シャストンだ。…この名前に覚えはないか?」
アナストリア…シャストン。
その名を聞いた瞬間、ハダサは背筋が凍りついたような錯覚に陥った。
「アナストリア?まさか…あの、アナストリアか?」
思わず息を呑んだ。
赤い瞳。そうだ、自分はこの赤い瞳を知っている。
エフォナ将軍、ハドル・シン…いや、アナストリアは、ハダサの青ざめた顔を見て、満足げに嘲笑った。
「思い出してくれたようで感謝する。ならばこれからの話も貴殿にはよく理解できるであろう」
アナストリアは驚愕に震えるハダサを赤い片目を細めて見据えると、殊更ゆっくりと口を開いた。
「…アデュスは返してもらう。返してもらうよ、ハダサ…」
と。
刹那。ハダサの頭の中を、走馬灯のように16年前の惨事がよぎっていった。