神龍の宴 覚醒の春
出自は明らかではなかったが、やはりアデュスもどこぞの王侯貴族の末裔らしい、と父が何気なく言っていたのを覚えている。
ハダサは一目でアデュスに恋をした。
それまでは嫌々ついて行っていた孤児院視察の日を楽しみに待つようになった。
けれど戦災で、ハダサには計り知れない痛手を負ったアデュスは、ハダサになかなか心を開こうとせず、遠くから眺めるだけの日々が続いていた。
そんなアデュスにいつもぴったりと寄り添っていたのが、苛烈な赤い瞳をしたアナストリアだったのだ。
アデュスとアナストリアの間に割って入ることは出来そうにもない。
だけど生まれてこの方、親の権力も手伝って手に入らないものなどなかったハダサにとって、アデュスという存在は諦め難かった。
なんとかアデュスを手に入れたい。
思案しながらもどうしてよいかわからなかった、幼かったあの頃。
ハダサは一目でアデュスに恋をした。
それまでは嫌々ついて行っていた孤児院視察の日を楽しみに待つようになった。
けれど戦災で、ハダサには計り知れない痛手を負ったアデュスは、ハダサになかなか心を開こうとせず、遠くから眺めるだけの日々が続いていた。
そんなアデュスにいつもぴったりと寄り添っていたのが、苛烈な赤い瞳をしたアナストリアだったのだ。
アデュスとアナストリアの間に割って入ることは出来そうにもない。
だけど生まれてこの方、親の権力も手伝って手に入らないものなどなかったハダサにとって、アデュスという存在は諦め難かった。
なんとかアデュスを手に入れたい。
思案しながらもどうしてよいかわからなかった、幼かったあの頃。