神龍の宴 覚醒の春
「絵美がメールで教えてくれたの。絵美もクラス同じみたい。凛とまた同じだって、すっごい喜んでたよ」

「ふーん…」


凛が軽く受け流すと、真耶子が凛の腕を掴んで引き寄せた。


「絵美、凛の事が好きみたいよ。凛はどう思う?」


真耶子の悪戯っぽい笑みを含んだ問い掛けに、凛は軽く笑って見せた。


「どうって。今は友達以上には思えないな」


正直な答えに、真耶子が「えーっ」と不服そうに唇を尖らせる。


「凛て、人気あるけど淡泊だよね。絵美、美人なのに」


「そういう真耶子こそ、爽が好きなんだろ?」


凛のまぜっ返しに、真耶子がたじろぐ。


「爽こそ最近、何考えてるのか全くわからない。メールしても悉く返事なし。…私、嫌われてるのかな…」


急にトーンダウンした真耶子を見て、凛が慌てたように作り笑いをする。



「嫌われてるのは俺の方だよ。なんでなのかわからないけど、避けられてるみたいだしな」



「…中学までは、あんなに仲良し兄弟だったのにね」


「まあね。うちの家、ただでさえ複雑だからね」








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