神龍の宴 覚醒の春
その上、今日は自分達の伴侶になるかもしれない少女がやって来るのだ。



しかし凛は真耶子にそのことは告げなかった。



真耶子の気持ちを知りながら、そんな事は不用意に言えるはずもなかった。



「ねえ、今度の日曜日、絵美達と遊園地でも行かない?」



「俺じゃなくて、爽を誘いなよ」



「凛が爽を誘ってみてよ」


「だから。俺が行くなら爽は行かないと思うよ。最近俺達、微妙なんだから」



凛はあきらめ口調で呟いた。


真耶子は「そっかなぁ〜」と、本気にしない。


こちらはただでさえ同じ部屋になって気まずいのだ。

休みの日に爽が外出してくれるなら、それこそ気兼ねなく「引っ越し」の荷物を片付けたりできるのだが。


自分の事を棚に上げて言うのもどうかと思うが、爽こそ恋人を作ればいい。


昔からよく知っている真耶子なら尚のこと、なかなか似合いだと思うが…。


「うわ、呑気にしてたらもうこんな時間!遅刻しちゃうわ」


時計を見て真耶子が慌てる。


「とにかく誘ってみろよ。真耶子、頑張ってな」








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