神龍の宴 覚醒の春
こんな事を言うと、爽はおそらく馬鹿にするのだろう。


同年代の友達と泥まみれになって遊ぶのも好きだったが、同じくらい花の手入れも好きだった。



手をかければ答えてくれる植物、そしてそばには、いつでも優しかった母親。



女々しいかな俺、と凛は小さく呟く。



ふと視線を感じて振り向くと、絵美と目が合った。


絵美は慌てて目をそらす。

遠目にも、頬が赤いのがわかった。


凛はまた桜を見るふりをしながら、そんな絵美を好ましく思う。



今後の展開次第で、自分も絵美を好きになるかもしれないな、と凛は人事のように考えていた。







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