神龍の宴 覚醒の春
「そう言われても、暦の部屋がなくなるのは嫌なんだ
」
凛の言葉に、勢が「駄々っ子みたい」と笑った。
「まあ、そのうち部屋は整理して凛に明け渡すから」
暦は柔らかく微笑むと、凛にメニューを手渡した。勢がオレンジジュースを飲みながら、「ヨーグルトパフェ追加」と手を挙げる。
「暦の話はそれ?話があるってのは部屋のことだったの?」
凛はアイスコーヒーをオーダーしてから、またため息をついた。
「まあ、それもだけどさ。爽が言ってたんだけど、お前まだ『あの夢』見てるんだってな」
「ああ、あの頭痛くなる夢ね。…爽のヤツ、暦には連絡するんだ。どうせ俺の悪口でも言ってんでしょ。うなされて煩いから寝られないとかって言ってきた?」
「…いいや。爽は凛を心配してるんだよ」
意外な言葉に凛は、は?と目を丸くする。
「心配?違うよ。あいつは俺のこと、嫌ってんだよ。最近やたらと避けられてるしさ」
「爽は凛を嫌ってなんかないよ。むしろ…大事に思ってるよ」
更に意外な暦の言葉に面食らう。その時、勢が何かを遮るように音を立ててオレンジジュースを飲み干した。
暦がそれに呼応するように手元のカップに視線を落とす。
…なんか、違和感。
凛はそう思ったが、あまり深くは考えなかった。
「部屋…ほんとに俺にくれる気なの?…」
凛の問いに、「ああ」と
暦が頷く。
凛はがっくりと肩を落としながら、あきらめ口調で問いかけた。
「暦、なんで大学やめたのさ」
そもそも、暦は開と同じ大学に通っていた。成績は常にトップクラスだったし、どちらかというと素行の良い暦が学校を辞めなければならなかった理由など何処にも見当たらなかった。
後継者としての父親の期待も一番大きかった。
だから、勝手に大学を中退したことで父親の逆鱗にふれ、暦は勘当されるハメになったのだが。
「時間が足りないと思ったんだ。あることを成し遂げるために」
暦はそう言って、カップに残っていたコーヒーを飲んだ。
」
凛の言葉に、勢が「駄々っ子みたい」と笑った。
「まあ、そのうち部屋は整理して凛に明け渡すから」
暦は柔らかく微笑むと、凛にメニューを手渡した。勢がオレンジジュースを飲みながら、「ヨーグルトパフェ追加」と手を挙げる。
「暦の話はそれ?話があるってのは部屋のことだったの?」
凛はアイスコーヒーをオーダーしてから、またため息をついた。
「まあ、それもだけどさ。爽が言ってたんだけど、お前まだ『あの夢』見てるんだってな」
「ああ、あの頭痛くなる夢ね。…爽のヤツ、暦には連絡するんだ。どうせ俺の悪口でも言ってんでしょ。うなされて煩いから寝られないとかって言ってきた?」
「…いいや。爽は凛を心配してるんだよ」
意外な言葉に凛は、は?と目を丸くする。
「心配?違うよ。あいつは俺のこと、嫌ってんだよ。最近やたらと避けられてるしさ」
「爽は凛を嫌ってなんかないよ。むしろ…大事に思ってるよ」
更に意外な暦の言葉に面食らう。その時、勢が何かを遮るように音を立ててオレンジジュースを飲み干した。
暦がそれに呼応するように手元のカップに視線を落とす。
…なんか、違和感。
凛はそう思ったが、あまり深くは考えなかった。
「部屋…ほんとに俺にくれる気なの?…」
凛の問いに、「ああ」と
暦が頷く。
凛はがっくりと肩を落としながら、あきらめ口調で問いかけた。
「暦、なんで大学やめたのさ」
そもそも、暦は開と同じ大学に通っていた。成績は常にトップクラスだったし、どちらかというと素行の良い暦が学校を辞めなければならなかった理由など何処にも見当たらなかった。
後継者としての父親の期待も一番大きかった。
だから、勝手に大学を中退したことで父親の逆鱗にふれ、暦は勘当されるハメになったのだが。
「時間が足りないと思ったんだ。あることを成し遂げるために」
暦はそう言って、カップに残っていたコーヒーを飲んだ。