神龍の宴 覚醒の春
「お、お邪魔します」
ひたすら爽の不在を嘆く真耶子を横目に、絵美は広すぎる玄関で靴を脱いだ。
凛は先頭に立って歩いていく。
桐生家は純和風の屋敷だった。
磨き抜かれた長い廊下を進んで行くと、おそらく30畳はあろうかというリビングに通された。
リビングの大きなテレビの前に、一見少女かと見間違えるくらい可愛らしい顔をした少年が座っている。
「勢ちゃん!」
「真耶ちゃん、久しぶり」
真耶子が驚いて声をかけると、勢は喜んで駆け寄って来た。
「きゃー!遊びに来てるの?久しぶりー。おっきくなったねぇ」
「僕、今日からここに戻ったんだ。真耶ちゃん、相変わらず賑やかだね」
じゃれあう二人を見て、凛は呆気にとらわれている絵美に説明した。
「俺の弟の、勢。今まで別居中の母親といたんだけど、中学入学に合わせて戻って来たんだ」
「あ、…そうなんだ」
母親が別居していることを絵美は初めて知った。しかし深く聞いてはいけないことだと思い、さりげなく受け流す。
「僕、荷物片したりするから部屋に戻るね。ゆっくりしてってね」
勢は絵美にもペこりと頭を下げると、そのままリビングを出て行った。
「可愛らしい弟さん。女の子かと思っちゃった」
「ああ、あれ、一番母親に似てるから」
ひたすら爽の不在を嘆く真耶子を横目に、絵美は広すぎる玄関で靴を脱いだ。
凛は先頭に立って歩いていく。
桐生家は純和風の屋敷だった。
磨き抜かれた長い廊下を進んで行くと、おそらく30畳はあろうかというリビングに通された。
リビングの大きなテレビの前に、一見少女かと見間違えるくらい可愛らしい顔をした少年が座っている。
「勢ちゃん!」
「真耶ちゃん、久しぶり」
真耶子が驚いて声をかけると、勢は喜んで駆け寄って来た。
「きゃー!遊びに来てるの?久しぶりー。おっきくなったねぇ」
「僕、今日からここに戻ったんだ。真耶ちゃん、相変わらず賑やかだね」
じゃれあう二人を見て、凛は呆気にとらわれている絵美に説明した。
「俺の弟の、勢。今まで別居中の母親といたんだけど、中学入学に合わせて戻って来たんだ」
「あ、…そうなんだ」
母親が別居していることを絵美は初めて知った。しかし深く聞いてはいけないことだと思い、さりげなく受け流す。
「僕、荷物片したりするから部屋に戻るね。ゆっくりしてってね」
勢は絵美にもペこりと頭を下げると、そのままリビングを出て行った。
「可愛らしい弟さん。女の子かと思っちゃった」
「ああ、あれ、一番母親に似てるから」