神龍の宴 覚醒の春
「高原家は親父の取引先だからな。わかるだろ?間違いがあっても構わないんだよ」


爽がサラリと言ってのけた。


…政略結婚。


凛の頭をそんな言葉がよぎった。

今日この家に来る少女は、兄弟の花嫁候補だということか。


キリキリと頭が痛い。


いつもこんな感じだ。自分だけ、この家のペースから外れていく。


今回、弟の勢を呼び戻したのも高原の一人娘と見合いをさせるためなのか。


凛はため息を噛み殺した。

その脳裏に、夢の中の青年の顔が浮かぶ。



蒼い瞳に涙をためて、渾身の力で抱き寄せられた。







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